[コメント] セブン・イヤーズ・イン・チベット(1997/米)
第二次大戦中のチベット・ラサの風景、文化を垣間見られる点で、まず興味深い。ロケ地はアルゼンチンが中心だったらしいし、考証的にどこまで正確なのかは知るよしもないとしても。澄み切った空気の希薄さが画面から伝わってくる。
エキゾチシズムへの傾倒も過度ではなく、西洋・東洋バランスが取られている感じはする。ただ、人がうまく描けているとは言えない。ブラッド・ピット演じる主人公にしても、妻との関係、盟友デヴィッド・シューリスとの確執と和解、ダライ・ラマをはじめとするラサの人々との心の交流が上っ面のエピソードベースでしか描かれず、深みをもって伝わってこない。中国の侵攻に降伏したンガワン・ジグメの描き方も中途半端だろう。
それにしても、この時代に端を発した中国によるチベットへの圧政が、この映画が描いてから四半世紀が経とうとしている現代の習近平独裁下でますます苛烈に深刻化していることには胸を痛めずにはいられない。
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