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[コメント] ばかもの(2010/日)

ともすればご都合キャラに陥りそうなところ、考え抜いたに違いない適切な造型演技でリアルさを保ち続けた成宮寛貴が期待を遥かに超えて素晴らしく、感心した。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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甘ちゃん童貞君が身勝手女に振り回された自業自得十年紀とも弱き青年の波乱万丈成長譚とも、どっちサイドにも人によって見方も180度変わりそうな話だが、10年という期間は人生において長くもあり短くもある微妙な歳月なのだな、としみじみと感慨を憶えさせられる。

アルコール矯正施設を退院した成宮からの電話に対する池内博之の冷たい反応などスパイスも効いている。全体的にベタな表現も散見されるものの、内田有紀が右腕を洗って欲しい脇を剃って欲しいと嘆願する件りは切ない。成宮以外も概ねキャスティングは適切。内田、中村ゆり白石美帆、それぞれに異なるタイプの薄幸が実によく似合う(特に白石は嵌りすぎなくらい)。

前半は頻繁に高崎大観音のカットが挿入され、これが”地方の物語”であることを否応なく意識させられるが、後半は目に入らなくなってくる(カット挿入自体なくなったのかもしれないが)。物語が昇華し、無名性を獲得した証左であろうか。

(評価:★4)

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