冒頭、親父に連れられて火災現場に同行する弟・ブライアン。父はその目の前で女児を無事救出しブライアンに指差しポーズ！　ｶｺｲｲー父！　理想の父！　すげえぞ、父！　

　だがその直後、仲間をかばって焼死する。最初の落涙。

　無骨だが、弟や家族が可愛くて仕方ない兄・スティーブン。子供の頃から父を一番愛し尊敬していたのはきっと彼だ。

　弟のブライアンは父の死を目の当たりにしたせいもあり紆余曲折あってからの配属。いつまでも口うるさい兄を疎ましく思っているが、後にそれが愛情表現であり、彼の言う絆だと悟る。

　１７分署のホース係・アドホック。三度に亘るバックドラフト事件の犯人だと判明するが、それも議員の消防隊員削減に起因する隊員の相次ぐ死亡・公費着服に気付いての「反抗」だった。

　リムゲイル・通称シャドー。消防隊科学分析班。彼は恐らくブライアンから聞くまでもなくアドホックの犯行だと気付いているだろう。だが黙して語らず、ただ議員を追及する。スティーブンとアドホックを弔う３−３−５の鐘は彼の最大の見せ場。ここでも落涙。

　ラスト、凛々しくなったブライアンが研修生に防火服の着方を指導しているシーンでは、消防車の運転手や周囲の仲間のリアクションもあって思わず、そして再び落涙。　

　大規模な火災現場、炎のＣＧに圧倒され、初見では様々な人間模様にまで目が行き届かなかったが、今こうして改めて見直しても全く劣化していない秀作だと気付かされた。

　僕が大好きな映画２０本、いや１０本の中には入れておきたい。そんな作品。