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[コメント] クイルズ(2000/米)

この映画は、実在した人物を登場させ全く違ったフィクションを作り出しているのだが、本物のサド伯爵は映画を遥かに越えた人物だった。
mimiうさぎ

実物のサドは本当にすごい。だって、最後の恋人とされているマドレーヌ・ルクレールと深い関係になったのはサドが73歳の時で、その時マドレーヌは若干16歳だもの。ひょぉぉ〜、サドという人物あなどるなかれ。

しかもこのサド、すごいのはこれだけではない。彼の書いた作品同様、娼婦を買ったり物乞いの女を拾っては、それこそ(全員が全員ではないのですが)サディスティックな性行を強要していたらしい。莫大にあった財産も、それらの女に貢いだり、訴訟を起こされ損害賠償を払わされたりして、最後はすっからかん。

色と慾にまみれた一生を送ったサドは、74歳この世を去った。彼の遺言は、「墓標もない薮の中に埋葬し、私の事を人々の記憶から消し去って欲しい」この遺言は、果される事なかった。「サディスティック」という言葉にもなるほど、人々に強烈なインパクトを残した彼は、将来に渡って人々の記憶に刻まれる事だろう。サドという人物がいた事さえ知らない者にさえ、あの言葉で。

この映画の中で一番サディスティックに感じた場面は、ホアキン牧師がサドの服を脱がせるシーンだった。「老人」と吐き捨てた牧師の罪悪感とサドの屈辱に満ちた後ろ姿が、とても印象的だった。どうやら私は、肉体的な苦痛より精神的な苦痛を苦痛と思うらしい。

それにしても、ジェフリー・ラッシュの素晴らしさよ。インチキ臭いサド愛用のかつらも、彼が被るからもったいがあるってものだ。ホアキン・フェニックスマイケル・ケインケイト・ウィンスレットとアカデミー賞に受賞・ノミネートされている面々の共演だから、本当に安心して映画を楽しめる。

(評価:★4)

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