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[コメント] インソムニア(2002/米)

程よい脚本、上手い演出。ベテラン俳優と、オスカー女優。卒のない出来。しかし、面白味に欠ける。
mimiうさぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







メメント』のような独創性もインパクトもないまま、なんとなく上手く纏め上げている。この映画のポイントは、普通のサスペンスと違い、登場人物の内面の葛藤がウリである。したがって、それが観る者に伝わるかどうかが大きなポイントになる。そういった意味で、失敗していると思う点を挙げてみた。

1、アル・パチーノは「故意」でハップを殺したのか、「事故」か?

この答えは結局最後まで明らかにされない。インソムニア(不眠症)に陥ったドーマー(パチーノ)でさえ、「分からない」のだから。しかし、これは大きな失敗ではないかと思う。観る側が、「事故」であったと捕らえる場合と「故意」であったと捕らえる場合とではこの映画の意味が大きく違ってしまい、主人公に感情移入出来にくくなっている。

メメント』では自分の事が分からない主人公と観客をシンクロさせた演出で成功しているのだが、この映画では失敗といえよう。

2、もう一つの葛藤ヒラリー・スワンク

彼女は、都会でいくつもの難事件を解決した古刑事ドーマー(パチーノ)をこよなく尊敬している。しかし、彼女はドーマーが凄腕の刑事である前に弱い人間である事を知り、絶望するのだ。これはオスカー女優でもある彼女の見せ場でもあるのだが、このシーンが明らかに少ない。あまりに少なすぎるため、彼女がどの程度悩んでいたのかさえ分からないのだ。

3、穏やかすぎるロビン・ウィリアムズ

インソムニア(不眠症)になった者なら分かるのだが、その時は本当に辛いのだ。極度に疲れていて、四六時中睡魔に襲われるのに眠ることの出来ない。一時、過度のストレスで、軽い睡眠薬の手を借りたことがある身としては、彼の演技はどうしても理解し得ない。

しかも、何日もその状態が続いているならなお更だ、目は充血し、いらいらは募り、もっとギラギラしているはずなのだ。普通の精神状態ではないのだから。

ロビン・ウィリアムズの台詞、「ここの警察官は殺人者の目を知らない」…お前もな…とおもわずツッコミをいれてしまった。

(評価:★3)

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