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[コメント] ウィル・ペニー(1967/米)

これは「傑作」なんて言葉を敢えて使いたくなくなるような美しい西部劇。チャールトン・ヘストンが歌を口ずさみながら馬に乗る逆光のタイトルバック、或いは料理人のスリム・ピケンズとのやりとりを描く冒頭からもうグッとくるが、いくつかの見所を挟んで中盤、ジョーン・ハケットとその息子との3人の生活シーンが特にいい。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 クリスマスが近づき歌の練習を始める場面で、ヘストンとジョーン・ハケットが初めてキスをする。こゝまでは本当にきめ細かな演出が続く。歌の練習を始める時、ヘストンは「歌は苦手だ」と云うのだが、観客は冒頭のヘストンの鼻歌を思い出し、彼は決して歌うことが嫌いなわけではない、きっとこの日以降、歌の練習を通じて家族愛を育むのだろうと合点してしまう。そこにこの急展開だ。転調によるショック効果が大きくなるよう計算されている。ただ、ラストに向ってプロットの運びが少々性急に過ぎるのが惜しい。

 あと、この頃のドナルド・プレザンスの悪役ぶりは最高。特に前半の登場シーンから川を挟んだ銃撃戦を経て、撃ち殺された息子の復讐を誓う偏執的演技が見事です。もう一人の息子を演じるブルース・ダーンなんかもプレザンスと比べれば、悪役としてまだまだ小物に感じられる。

(評価:★4)

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