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[コメント] 女の叫び(1978/ギリシャ=米)

公開時に見たいと思いながら見逃して、以来見る機会に恵まれなかった作品の一つだが、やっと見ることができた。ですが、期待が大き過ぎたのかも知れませんが、テンションが持続しないというか、画面のテンションについていけなくなってしまった。
ゑぎ

 冒頭の演劇リハーサル風景はタイヘン面白いと思いながら見たのだ。BBCのカメラが入っていて、インタビューも受ける、という設定で、舞台演出家の演技指導と共に、BBCのディレクターによるカメラへのディレクションもあり、なんか混沌とした状況なのだ。そんな中で演じられるメリナ・メルクーリの過剰な演技は、演劇的であることは当然ながら、映画的にも面白いと思いながら見た。演劇はギリシア語だが、英語字幕も残っているプリントに日本語字幕が入る。また普通の会話シーンは、ほとんど英語が話される、この多言語状況も面白いと思 った。

 だが、演劇のスタフ一同で、ベルイマンの『ペルソナ』を鑑賞する場面になり、過剰にリスペクトする科白がスタフから吐かれたりするのを見ると、こんな形で手の内を明かさなくても、と思ってしまう。さらに、子殺しで収監されている、エレン・バースティンとの面会シーンで、マスコミがなだれ込んでくる部分になって、ズームインを使うのだ。これには幻滅した。以降、演劇シーンや、バースティンのフラッシュバックでの室内シーンでも、結構ズームが目立つ。アンゲロプロスでは、こんな画面は皆無なので、やはり、監督の指示なのだろう。

 バースティンが突然強暴になる狂気については、映画的だと思うが、バースティンの事件の回想と、それをメルクーリが目撃するイメージシーンのあたりは、ありきたりで、つまらない。ワザとらしい、作り過ぎという意味で、演劇的なのだ(演劇に失礼なモノ云いですが)。序盤はメルクーリの絶叫演技も面白かったが、終盤になると、飽きてしまった。

(評価:★3)

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