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[コメント] サイドウェイ(2004/米=ハンガリー)

冒頭とラスト近くの2回、自動車と飛行機を同一フレーム内に映しこむカットがあり、かなりの画面へのこだわりを感じさせる。或いは最初に四人で食事するシーンでポール・ジアマッティが別れた妻に電話をかけるが、こゝのフォーカス演出も凝っている。フォーカスで酩酊状態を表現する方法が普通じゃない。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 その他にも凝った光の表現は随所にある。ただし、全体を通じて画面のこだわりよりもキャラクタリゼーションの面白さが印象付けられる弱さもある。登場人物の中ではやっぱりトーマス・ヘイデン・チャーチがとっても面白いが、その面白さは脚本・演出以上に彼の演技の独創性に拠るものではないかと感じさせるのだ。

 ドアをノックしたカットで暗転するラストはどうだろう。潔さは良いが、反面、ヴァージニア・マドセンのリアクション演技が見たかったという思いも残る。いかにもシネフィル臭い選択のような気がしてくる。彼女を映した上での潔さ、という演出もあるだろうと思う。

#ホテルのテレビから『怒りの葡萄』のヘンリー・フォンダの声が聞こえる。画像は映らない。ただのブドウからの連想か。ホテルのテレビでジョン・フォードと来ればヴェンダースのロードムービー『都会のアリス』で出てきた『若き日のリンカン』を思い出さずにいられないのだが、そんなオマージュということもないのだろう。

(評価:★4)

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