パンニングもズーミングもかなりいい加減で、ばっちり決まっている、という使い方でないところが見ていて可愛いのだ。例えば、海賊に急襲された後、いきなり、ビル・マーレイが発砲をはじめ、激しい銃撃戦が展開されるシーン。こゝのマーレイはすこぶるカッコいいが、演出自体はやはり厳格さがない。それが、本作の一貫性。こういった全編に亘る遊びの感覚がとても楽しい。

　建物や船の断面の装置が何度も登場する。これもアニメーションへの志向性か、サイレント映画への憧憬か。キートンを想起する。