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[コメント] ドミノ(2005/米=仏)

これも傑作だ。トニー・スコットのカメラワーク、せわしない画面がOKで、どうしてポール・グリーングラスはNGなのか。それは簡単に云うと、ぶっ飛んだ発想、突き抜けた驚きに満ちているからだ。例えばボーンシリーズの儀礼的なズーミング多用なんて比較にならない。
ゑぎ

 オフの音使い。取調室の黄緑の光。一言セリフが入る凝ったクレジット。字幕インサートの多用。スローモーション活用とコマ落とし。目まぐるしいカメラワークとゆるやかな横移動。このように、緩急の緩も上手く構成する。例えば、金魚のサミーが水中で静かに横になっていく様。このあたりも抜群に上手いと感じる。

 お得意のメキシカン・スタンドオフ(銃を向け合って膠着状態)のシーンでも全く常軌を逸した収め方をする。初仕事のドミノ=キーラ・ナイトレイが、セクシー・ダンスで切り抜けるとは。と書いても、良さが伝わらないと思うが、このシーン、敵の銃口にタバコの煙を吹きかけるカットから、ドミノの放胆なキャラ造型が実にカッコいいのだ。これは一例であって、クライマックスの両手マシンガン乱射シーンまで、シビれるようなアクションシーンの連続なのだ。

 実在の人物(しかも、ローレンス・ハーヴェイの娘)を題材にして、本作の実話とフィクションのバランスの図太さについても、映画はこうあるべき、というものだと私は思う(端的に云えば、実話と思わせておきながらも、ぶっ飛んで逸脱すべきなのだ)。

(評価:★4)

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