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[コメント] 殺人!(1930/英)

屋内の長い芝居を2台カメラでマルチ撮影しているシーンが多い。これにより、ヒッチコックにしては、繋ぎが滑らか過ぎる部分がある。また特に前半は、ディゾルブでのカットつなぎも目立つ。シーン転換ではなく、同一シーン内での人物のバストショットを繋いだりだする。なんか、スタンバーグみたいじゃないか。
ゑぎ

 このあたりも含めて、きっと制約もあったのだろうが、まだまだいろいろ試している、という感じがする。しかし後半、刑務所の面会シーンあたりから、キャッチーな画面造形とカッティングがヒッチコックらしくなってくる。こんな面会場面は他では見たことがない、という演出だ。長い机に正対する囚人と面会者。窓から見える巡回する女性刑務官の緊張感。この後の断頭台の影と風見鶏のカットの挿入も常軌を逸している。主人公ハーバート・マーシャルのスター映画らしい部分もあり、帰結はヒロインとの幸福を暗示するものだが、しかし真犯人のキャラクター設定の奇異さの方が心に残る。『フレンジー』なんかにも繋がる気味悪さがまさる。

(評価:★3)

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