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[コメント] ピンクカット 太く愛して深く愛して(1983/日)

梅ヶ丘、下北沢辺りが舞台。伊藤克信を主人公にした緩いコメディでもある。大笑できる場面はないが、けっこうニヤケながら見ることはできる。
ゑぎ

 伊藤が訛りを気にしているのだろう、英語の学習教材テープを聞きながら、「これはペンです」「サクラが咲きました」といった日本語部分を反復する場面。壁に貼られたアル・パチーノのポスター。「フロントホックブラ」と必ず云う部分。何度も反復するが、その都度、また云うぞ、と思わせられる(云うのを待ってしまう)。「のの字書いてハ」もそう。電話の相手が長襦袢と聞いて喜ぶ場面。

 女優は沢山出てくるが、濡れ場があるのは殆んど3人だけだ。すなわち、理髪店の店主で女子大生のヒロイン−寺島まゆみ、伊藤の恋人−井上麻衣、散髪屋の店員みどり−渡辺良子。いずれもセックスシーンでは、寄りのカットが多いかと思ったが、ちょっと俯瞰気味のアングルで、胸を綺麗に見せるカットも多く、これも好感を持つ。

 終盤の、井上麻衣が新しい彼氏を連れて来て、伊藤が呼び出される場面。向こう(新しい彼)から先に殴りかかって来、最初は伊藤がやられるが、すぐに反撃し、結局、伊藤の方が強かった、という展開になる。これ、意外性があっていい。普通、このパターンだと、伊藤がボコボコにされると思うじゃないですか。しかも、これって、プロットを経済的に運ぶ上では、全く不要なシーン(伊藤のキャラを補完することには機能するが)、という点がいい。この辺りの呼吸が森田芳光の良さだなぁ、と思う。

(評価:★3)

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