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[コメント] 永遠の戦場(1936/米)

ホークスらしく過去作『今日限りの命』を一部焼き直したような設定を持つ戦争映画だが、プロット展開においても、撮影においても、より深化した傑作だ。まず、本作でも、ジューン・ラングをめぐるワーナー・バクスターフレデリック・マーチの三角関係が描かれる。
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 しかし、あくまでもプロットを推進するのは2人の男優で、ジューン・ラングも充分魅力的ではあるが、扱いは小さい。ホークス映画では、男同士の確執とリスペクトが中心に描かれた方が断然面白くなる。

 また、撮影はグレッグ・トーランドで、宿営地の場面でも、塹壕のシーンでもローキーの画面が実にいい。例えば、マーチとラングの出会いのシーン。空襲のさなか、ピアノを弾くマーチが、半地下の窓の向こう(舗道)に、ラングの脚を見留める場面から始まるが、ラングをピアノのある部屋に引き入れた後の、ローキーの画面が抜群にいい。後の『教授と美女』の、暗闇のスタンウィックを想起させる。あるいは、塹壕の各シーンも見事に黒い夜が定着している。

 塹壕の場面では、敵が足下まで坑道を掘り進んでおり、絶えず地中から掘削する音が響いている。一方、音がある間は爆破されないという証拠でもあり、音が途切れると、皆が怯える、といった描写が、中盤のスリルに大いに機能する。このように、本作は卓越した音の映画でもあるのだ。こゝで、ジョン・クォーレンが、最初に音に気付く臆病な兵士として見せ場が与えられている。

 そして、後半になって老兵のライオネル・バリモアが登場し、突撃シーンを盛り上げることになる。本作は突撃シーンがクライマックスだろうと思って見ていたが、それ以降も結構長く、狙撃兵の銃弾に怯えながらの電話線敷設と、敵位置の伝達、味方の砲撃、という作戦行動が、真のクライマックスだ。こゝで、負傷者と介護者による、スーサイド・アタック、というモチーフが描かれる。正確に云うと、彼らによるアタックではないのだが、そういう意味でも捻った演出であり、唸らされるのだ。

 このような主軸のプロット展開にからんだ部分だけでなく、バクスター付きの軍曹ヴィクター・キリアンや、「ラ・マルセイーズ」の口笛を吹く軍曹グレゴリー・ラトフらを含めた軍隊生活の部分の演出も、申し分のない出来だ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山[*]

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