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[コメント] The Guilty/ギルティ(2018/デンマーク)

緊急通報を受けたオペレーター(警察官)だけをほゞ映し続け、電話の音(声)と応対で、事件の全容と解決を描いていく、という趣向の作品だが、同時に、主人公の変貌と、人生を左右する決断をも描くのだから、なかなか上手く作られている。
ゑぎ

 開巻は黒画面にコール音。耳にヘッドセットをする主人公アスガーが映り、カメラはゆっくりと引く。ヘッドセットの明滅する青い光。最初は、オープンなオフィスで、複数人のオペレーターと一緒に電話対応しているが、ひとつの事件を受け付けてから、個室というか、奥の会議室に、一人こもって対応するようになる。これは、私的な電話もパラで処理するためや、以前の相棒を事件の捜査に駆りだすためもあってのことだが、画面的には、個室は暗く、ローキーの画面造型になるのだ。途中で、部屋のブラインドカーテンを閉めるので、余計に暗くなる。また、自分のミスリードで、事件が悪化したように思われた際には、部屋の中の物に当たり、暴れたりもする。真っ暗な部屋の中の赤い照明が効果的に使われる。終盤になって、名指しでかかってきた電話に出るため、アスガーは、この個室から出て、もとのオープンなオフィスに戻る。といった風に、場面も、主人公の所作表情にも、巧妙に変化をつけながら描かれるので、緊張感が途切れないのだ。ということで、画面は頑張って見せていると思うのだが、扱われる事件の顛末は、私には作劇臭いものに思われる。特に、名指しでかかって来た電話の相手の転調ぶりが、ドキドキ感を削いだと思う。

(評価:★3)

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