本作は、片山の代表作になったと思う（片山友希は、昨年『君が世界のはじまり』を見たときから推している）。渋谷センター街を尾野と片山が２人で歩いており、階段下のゴミ置き場で会話を始め、居酒屋で２人で飲み、最後に尾野の息子が迎えに来るシーケンスが、本作の中で一番良い部分だと思う。尚、重要な情報だと思うので書いておきますが、本作では、尾野も片山も胸を見せています。

　さて、本作全般の感想を云うと、かなりとっ散らかっている。例えば、冒頭から序盤は、小さなズーミングを多用する。交差点でのオダギリジョーとか、嶋田久作のミタメの、尾野のカットなど。これが、ズーミングは中盤から落ち着く。ならば初めから、やらなきゃいいのに、と思わせる。

　尾野のキャラクターも、聡明なのかアホなのか、よく分からない。意味深な科白は多いし、一貫性のある部分もあるが、支離滅裂で、分裂気味でもある。その他のプロット展開、プロットの取捨選択に関しても、例えば、放火した生徒へのお咎めはなしで、熊木くん、大塚ヒロタだけ、痛めつけられるのは、腑に落ちないが、これはコメディパート、ということか。永瀬正敏の存在は、ある意味、コメディなのだろう。エンディングが、一番コメディ色が強いけれど、こゝでも彼が重要な役割を担うのは、当然なのだ。

　最後に、タイトルに関する部分で、一番印象に残るのは、斎場前のシーンと、土手の自転車２ケツのシーンだが、この夕陽、綺麗じゃないとは云わないが、明らかにポストプロダクションでのコンピュータ処理の色遣いだ。もうちょっと、自然な感じに作れないのか。ワザとかも知れないが、私は安っぽいと思うのだが。