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[コメント] 1秒先の彼(2023/日)

舞台を京都府内に設定したことは、とても良い結果になっているのだろうと推測していたのだが、この点については、ちょっと予想を裏切られた感がある。
ゑぎ

 鴨川を背景とする場面なんかはいいと思うが、宇治と天橋立の使い方に面白みが無いと思えたからだ。別に観光映画にする必要もないのだが、特に、天橋立は、もっと上手く見せられなかったのだろうか。天橋立であることの画面的な優位性がほとんど無かったと思う。股のぞきについても言及されていたのに。ちなみに、天橋立から宇治を原チャリで往復すると、7時間ぐらいかかるんじゃないでしょうか。

 しかし、岡田将生の京都弁はいい。よく頑張ったと思う(清原果耶片山友希も元々関西の人だ)。ただし、関西弁の中でも京都弁だと、せっかち感が薄れているように私には感じる。機械式デジタル時計(パタパタ時計)で目覚める習慣を3回ぐらい反復する部分ぐらいにしか、せっかちに感じられなかったのだ。その他は、単にお喋りな人(要らんことを云う人)、というキャラに見えた。ついでに、岡田の子供時代を演じた柊木陽太についても書いておくと、彼も全然せっかちに見えないと思ったが、本作でも『怪物』のときと同様に私には強烈に印象に残った。岡田よりも可愛いし(当たり前か)、カッコいいと思った。

 また、岡田が恋する鴨川べりのミュージシャン・桜子−福室莉音の描き方にも疑問を感じた。中途半端というか。彼女へ手作りのお弁当をプレゼントしたファンのサラリーマン風男性(確か本多力がやっていた)にまつわるシーンの位置付けも、中途半端になっている。

 良い場面ということで云うと、やっぱり、マネキンチャレンジ風に世界がストップしてしまう画面は見応えがある。特に大学構内(立命館か)のモブの演出は良く出来ている。これってどこまでがホンモノの被写体で、どこまでがCGやスチル写真との合成なのだろう。このファンタジーの世界では、バス運転手の荒川良々が、どうしてもワザとらしく見えてしまっているが、それでも彼はよくやっている方だろう。あと、ファンタジー処理ということで云うと、チェン・ユーシュン版で私が好きだった、窓外のラジオブース、部屋で唄い踊るミュージカル場面、そして、クローゼットのヤモリの親爺の幻想といった部分が割愛されているのは、寂しく感じた。

#私は、素麺には茗荷(みょうが)があれば入れたい方だ。無ければいいが。

(評価:★3)

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