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[コメント] 赤い手のグッピー(1942/仏)

これも本当に良く出来た映画だ。冒頭の村の風景と窓やドアをからめた人物の出入りのコントロール、カメラの寄り引き。なんて安定した画面だろう。この冒頭で、映画の世界にぐっと引き込まれる。
ゑぎ

 以降、多くの登場人物を見事にさばき、それぞれのキャラクターを立てている。タイトルロールは、一族の除け者という位置づけの「赤い手」と呼ばれる男なのだが(だから、本来のタイトルは「グッピー一族の赤い手」ぐらいが妥当なのでしょう)、出番は多くはないが、落ち着き払った聡明な性格付けで、ラストに至るまで要所要所で映画を締める。こういったキャラクターの造型に、演出家の聡明さも現れていると感じられる。ただ、「赤い手」以上の比重で描かれるのは、パリから呼び出された青年・ムッシューや、ムッシューと結婚させられる娘ミュゼだったり、ミュゼに横恋慕している男トンカンで、これまたそれぞれが見事に引き立つ場面が用意されているのだ。特にムッシューとミュゼが晴れた日の戸外でリンゴを食べるシーンまわりが素晴らしい。仰角カット(ローアングル)の強さを痛感する画面だ。

 さて、この映画でもジャック・ベッケルらしい打擲シーンが2カ所ある。一つ目は一族の中で何かと仕切っている怖い女チザンが激昂して使用人マリーの息子を鞭打ちする場面。もう一つは、ムッシューが父親からビンタされる場面。

(評価:★4)

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