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[コメント] 土(1939/日)

最初と最後に、欠落部分の説明書きが日本語で入るバージョンを見た。エンディングの欠落は、多分、タイトル『』の、画面へのさらなる実装と、とりわけ小杉勇の晴れやかな表情の欠落でもあるのだろう。この欠落は、至極残念。
ゑぎ

 主人公の勘次・小杉勇が、地主の内儀さんの前で、仕事をもらう場面から始まる。この内儀さんは、村田知栄子なのか。冒頭近く、男たちが、小杉勇と舅の卯平・山本嘉一の噂話をするシーンがあるが、見明凡太郎山本礼三郎もこゝで出ているのだろう。画面の状態が悪くて判別し難い。見明は中盤以降、よく目立つシーンもある。舅を大切にしない小杉に怒っている。小杉の娘の、おつぎ・風見章子は、本作で映画デビューとのことだが、可愛い。この映画で、アイドル扱いにならなかったのだろうか。あるいは、そういう時代ではなかったのだろうか。あと、潮万太郎が、若い女たちを機織りの出稼ぎへ連れて行く男の役で、ワンシーンのみ登場する。

 舅の山本嘉一と、おつぎの弟の与吉が栗を焼こうとして、火事になるシーン。二人が逃げるさまを後退移動でおさめたカットが、本バージョンでの、画面上の一番の見せ場だろう。あとは、その後の小杉の消沈と鬱々ぶりの演技・演出がすごい。見明に、舅を引き取るよう責められても、しゃがみこんで泣いてばかりいるのだ。

(評価:★3)

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