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[コメント] GODZILLA/ゴジラ(1998/米)

固着観念に縛られないように努めて見れば、これはローランド・エメリッヒらしい、良く出来た活劇だと思う。目を瞠る画面を造型する、ということを第一義に考え作る姿勢(多分)が好きだ。ということで、良い部分を列挙しておこう。
ゑぎ

 まずは、全編に亘るヘリコプターの物量が凄い。これ、ヘリコプターの映画と云ってもいいぐらいだと思う。序盤の各地のシーンでも、良いヘリの空撮移動が多々あるが、NYのビル群の仰角に、沢山のヘリが出現するカットや、五番街を縫うように飛行するカット、そして、メットライフ(パンナム)ビルの空洞の向こうに飛ぶ姿が映るカットなど、ちょっと唸った。

 また、怪物の見せ方。雨のイーストリバーの桟橋で、老人が釣りをしているシーンが実質的な最初の見せ場だと思うが、まずは、桟橋が瓦解していく望遠カットが見事。怪物については、足から見せる。以降も、足や尻尾だけ見せて、ずっと顔は見せない、というのが常套ではあるが、良いと思う。ただし、グランドセントラル駅の横の道路で、ハンク・アザリアが踏まれる場面が、最初に顔を見せる場面だが、顔を見せた瞬間、インパクトが余り感じられないのは、これは意匠の所為ではなく、演出の所為だと私は思う。尚、終盤の、イエローキャブでの逃走、チェイスシーンの演出も良く、ブルックリンブリッジ、こゝの橋の使い方も序盤の桟橋のシーンと呼応させながら、大きくスペクタクルを上回って見せ、瞠目した。

 プロット展開では、マシュー・ブロデリックマリア・ピティロの恋愛(元サヤ)話、ピティロのキャスターとしてのキャリアの話が、薄ぺっらいが、上手くまとめて織り込まれているし、ジャン・レノ率いるフランス人チームの存在が、嘘っぽくはあるけれど、後半の見どころを作り出していく点も面白かった。何よりも、ラストまで、ジャン・レノが一番カッコいい、というのが良いと思う。また、NYの場面はずっと雨が降っている、という設定へのこだわりも、たいへん好ましく思う。

(評価:★4)

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