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[コメント] 底抜け大学教授(1963/米)

星影のステラ。いやあ、このステラ・スティーヴンスはタマりません!彼女の魅力に打ちのめされるかどうかで、この映画の評価は決定的に変わるだろう。主人公はジェリー・ルイスで、彼のジキルとハイド的モチーフの映画。
ゑぎ

 ルイスは、普段は気の弱い大学の化学の先生−ジュリアス・ケルプ教授だが、開発した薬を飲むと、相貌もかなり異なるエゴイスティックなプレイボーイ−バディ・ラブに変身する。いずれの場面でも非常に細かい部分までコメディ演出が考え抜かれていて、ニヤニヤが止まらなかった。

 また、ほとんどのシーンで2台カメラのマルチ撮影/アクション繋ぎの演出が行われており、このカッティングのセンスも随所でハッとさせられるのだが、これにより、ジェリー・ルイスはある程度自由に動きまわることもできるし、アドリブも効かせているのだろうと思う。

 特記したい場面も沢山あるが、生徒役のステラ・スティーヴンスを愛でるという意味では、何と云っても、彼女が教室の部屋を出ようとしてドアの前で振り返ったショットから、ルイスのショットを挿みながら、彼女の衣装をセクシーなもの(黄色のイブニングやテニスウェアなど)に着せ替えて繋ぐ部分。最後は青い水着(スクール水着のようなもの)になる。こゝはルイスの妄想だとはっきり分かる演出だが、スティーヴンスのカメラ目線顔アップでメラメラエフェクトを使って場面転換をする部分は、その後が現実なのか(どこまでが現実か分からない)と思ってしまったが、全部現実、ということなのだろう。また、ルイスがプレイボーイのバディ・ラブに変身した後に、町行く人やクラブ「紫の館」の客たちが(その魅力に驚いて)固まってしまうのをミタメ(カメラ目線)で繋ぐ部分、いや、「紫の館」でのシーンは全部面白いと云ってもいいだろう。

 クライマックスはプロムの場面で、レス・ブラウン楽団が生演奏する、という贅沢なステージなのだが、登場したバディ・ラブを見ながら、ステラ・スティーヴンスには、その向こうに(彼の真実の姿として)ジュリアス・ケルプ先生が見えるという演出で、戸惑う表情をちらちら見せるのもタマラナイ。その表情が素晴らしく可愛いのだ。

 尚、ステラ・スティーブンスのシーンの多くで(例えば、上に書いた、教室のドアの前での衣装の着せ替え妄想シーンもそうだが)、彼女のテーマのように、劇伴で「Stella by Starlight」の甘い調べが流れるのもとてもいい。

#備忘でその他の配役等を記述します。

・大学の学長はデル・ムーア。その秘書はキャスリーン・フリーマン。学長室でルイスが懐中時計を開けると「海兵隊賛歌」が大きな音で流れる。

・学生の役で私が知っていたのはノーマン・アルデンヘンリー・ギブソン

・ルイスがジムへ入った場面でまず立ちふさがるのは、リチャード・キールだ。

・ルイスの父母はハワード・モリスエルヴィア・オールマン

・「紫の館」のバーテンーダーはバディ・レスター

(評価:★4)

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