[コメント] 救命艇(1944/米)
まずは、このファーストカット、クレジットバックに驚愕する。沈没船の煙突。船の沈没するさまが、この煙突で表現される、力強い、圧倒的な映像だ。続く、タルーラ・バンクヘッド登場の、彼女の平然とした様にも驚かされる。
本作はこの開巻の演出に尽きると云っても過言ではないだろう。しかし、以降も、ラストまでカメラは救命艇の外に出ず、乗り合わせた人々の確執や関係性の変化を丹念に追っていくことで、見事に緊張感を維持している。
また、乗員全員のキャラクターの立たせ方も大したものだ。実業家のヘンリー・ハル、胸に女のイニシャルの刺青がある野性的な船員ジョン・ホディアク、真面目な船員のヒューム・クローニンらも見せ場があるが、何と云っても、登場から足を怪我しているドイツ移民の船員ウィリアム・ベンディックスと、敵兵であるUボートの乗組員を演じるウォルター・スレザックは、プロット展開のキーとなる役割であり、突出して演技の見せ場のある役だろう。
小さなボートの上の人々をドリーの寄り引きで的確に捕え続けるカメラワークにも堪能させられた。
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