[コメント] キラー・エリート(1975/米)
しかし、序盤の病院や、ジェームズ・カーンのリハビリの場面、あるいは、バート・ヤングのガレージで、ボー・ホプキンスも加わった3人のシーンなんかでも、綺麗な画面だなぁと思い続けながら見た。
編集に関わる部分として、アクションシーンにおける高速度撮影のショット挿入については、本作は余り効果的な使われ方ではない、と思ったが、代わりに抒情的な長いディゾルブ繋ぎが効果を発揮する場面が多々ある。それは序盤の手術・治療シーンで多用されるし、後半のヨットの場面でも出て来る。あるいは、唐突な旅客機のショット挿入から始まる、空港とコンピュータ室等オフィスのクロスカッティングなんて繋ぎにも驚きがあるし、マコ岩松と忍者暗殺団の襲撃になだれ込む意味不明の展開の見せ方も面白いと思った。
プロットのデザインの面では、マコと忍者たちといった無理やりな東洋趣味の違和感以上に、悪役としてのロバート・デュヴァルが腰砕けの描き方である点の方が気になった。復讐劇として、さらなる悪玉の設定は常套だとも思うが、いずれにしても、少々牧歌的に過ぎる見せ方が横溢していると感じる。脱臼ワザの面白味を狙っているのは分かるのだが、チェイスシーンの終結部で出て来る白バイ警官の描き方といい、マコと忍者のラスボス−トクの対決を見守るカーンとバート・ヤングの無駄口といい、全般に、ギャグテイストが上手くいっていると思えない。
中盤の中華街での銃撃戦における、階段の上と下、屋上と地上といった高低を上手く使ったペキンパーらしいアクション演出は冴えているし、エンディングの背景になる軍艦墓場と呼ばれる沢山の軍艦が係留(?)されている場面においても高低が意識された良いショットがあるなど、映画全体として、決して悪い出来ではないと思う。軍艦墓場の景観自体が瞠目する背景なので、終盤にこの画面が提示されることも、本作の大きな見どころと云っていいだろう。あと、ラストのアクションシーンの中で、バート・ヤングが思いの外強い、という演出は、面白かった(逆に云うと忍者たちが弱すぎるのだが)。
#備忘でその他の配役等を記述します。
・冒頭のビル爆破で救出される要人は、製作も兼ねるヘルムート・ダンテイン。カーンの上司(部長コリス)はアーサー・ヒル。その上のボスにギグ・ヤング。
・献身的な看護師エイミーはケイト・ヘフリン。バン・へフリンの娘らしい。
・CIAのオリアリーはトム・クランシー。
・マコの娘役−ティアナ・アレクサンダーは、スターリング・シリファントのパートナー。
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