どうにも気になるのが、いかにアメリカ人犠牲者が多数出たとはいえ、アメリカの捜査官が外国に乗り込むのは当然であるかのような前提には、根本的な疑問を持たざるを得ない。

これが普通のアクション映画ならともかく、アメリカが言うところの「テロとの戦い」を背景に自爆テロを扱うのなら、それが世界のどこであろうがアメリカのＦＢＩ（とかＣＩＡとか海兵隊とか陸海空軍とか）などが乗り込むのは当たり前、という発想そのものも吟味されてしかるべきではないだろうか。

おまけに劇中では、優秀で勇敢なＦＢＩ捜査官が、科学捜査のイロハを「遅れたサウジアラビア警察」に「助言」してやり、そのおかげでテロ首謀者を倒すことができた、という骨格がつらぬかれており、あくまでも優秀で力を持つアメリカが、テロとの戦いのために世界のどこへでも出かけていって、その力を行使してテロリストに勝利するのだ、というのがこの映画の隠れたメッセージではないかと勘ぐってしまう。