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[コメント] アントマン(2015/米)

ミクロの決死圏』の翻案くらいにしか考えてなくて、いまいち食指が動かず未見であったが、『アベンジャーズ エンドゲーム』公開前とあって急いで鑑賞。意外にもよくできた作品でした。
ロープブレーク

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







アントマンスーツを着れば誰でもアントマンになれる条件下で、スコット・ラングがアントマンでなくてはならない唯一性を彼個人のモチベーションに持ってきている訳だが、それが娘の存在というところが説得力がある。

義賊であっても法の下には犯罪者であって、逮捕→離婚、でも年端もいかない娘はパパは悪者ではないと信じている。この設定はベタなんだけど実際に娘がいるパパにはツボ。

そこに、スコット・ラングの理科系的な盗みの発想力と臨機応変さと運動神経のよさを叩き込んで、なるほどスコット・ラングがアントマンでなくてはならないのねとエピソードに語らせる。このあたりは映画として優等生的な作り。

そこに、ハンク・ピム博士の父娘の関係が多重化されて、物語の一貫性と厚みが作られている。

クライムコメディと理系ネタとの対比もリズミカルで、なかなか王道の娯楽映画ではないですか。

あれほど、娘をアントマンにさせたくなかったピム博士が、あっさりワスプにさせちゃう転調も、きっかけが娘の恋愛シーンをうっかりのぞき見ちゃったってとこが素晴らしい。

保護すべき娘はウソをついてでも守る父親が、娘を一人の成人した女性として認めることをきっかけに、娘の自己責任自己判断を応援する守護者の立ち位置に変わる。妻を死なせたリスクを娘が取ることをためらわなくなる。保護者から守護者へと変わる父。この変化がドライで日本っぽくなくて凄くイイ。父娘の物語が、父の子離れの物語に変化するんだ。娘を持つ父親である小生ですが、大切なことを教えられた気がしました。

あと蛇足ですが、本作の続編は『アントマン&ワスプ』ではなく、『キャプテンアメリカ シビルウォー』です。本作を観たあと続けて『アントマン&ワスプ』を観たら話が飛んでて混乱してしまった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)tredair[*] Orpheus

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