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[コメント] ミュンヘン(2005/米)

不条理極まりない。88/100
たろ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







国とは?家族とは?英雄とは?重いテーマを扱いながらサスペンスとして機能してるあたり手堅い作りで160分見応えがある。しかし、暗殺シーンが映画のメッセージを提示するためのただの通過点ともとれ、中だるみ感は否めない。 映像はとても良くてヨーロッパの街並みなんかウットリする反面冷たさも感じる。

国を守るためという大義のもと、国に利用され破滅していくアヴナー。しかし帰る場所は国しかない。彼にとって国(ホーム)とは妻でありイスラエルであるが、どちらも人間の集合体に変わりはなく、果たしてその後安泰に暮らせたのか気になる所だ。祖国を離れたのだからイスラエルからは裏切り者のレッテルを貼られるだろうし不条理極まりない話である。

国家というテーマと並行して描かれるのは「殺し」について。拳銃より爆弾の方が派手だからという理由で他者を巻き込んだり、女暗殺者を殺害するシーンで弾を撃ち込まれて逃げようとする女に対して「そこにいろ」と手を掴む時の冷酷さ。殺しの現場の残酷さにゾッとした瞬間が多々あり、それが正義という信念のもとに行われている皮肉。ある意味ホラーでもある。

(評価:★4)

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