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[コメント] ヒート(1995/米)

立場の違う男たちの生き様を描いた「ドラマ」。100/100
たろ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







アクションにジャンル分けされる事が多い作品だが、これはドラマ要素が強い。生き様の映画。それぞれが「理想はあるけど、こんな生き方しかできねぇんだよ」と顔で語り、もがき、愛し、撃ち、逃げ、死んでいく。なんと儚い事か!女達が、男に振り回される完全受け身になっているのはマン映画のおなじみだがイーディに関しては都会の孤独を象徴するキャラとして上手く機能し、マン映画において唯一立った女性じゃなかろうか?男達はプロ同士の対決を軸に、敵と人生と戦う事になる。これってまんま戦争映画のスタイルで、兵隊と銃後のようなもの。だからこそどちらの苦しみもよく分かる濃厚ドラマになっている。ただ、やはり宣伝やジャンル分けでどうしてもアクションにイメージが偏りがちで、長いドラマに拍子抜けする人もいるだろうな。

本作の売りである、パチーノvsデニーロだが確かに一緒に写るシーンは無い。まぁゴッドファーザーもそうだったんだから特に問題はない、というかどっちも存在感あるのでスクリーンに一緒に写っても仕方ない(だからボーダーはイマイチだった)。それぞれのパートでしっかり堪能できるので3時間ブレずに魅せる。たまらん!2つめの売りである銃撃戦。実銃の発射音をわざわざ録音して作り上げたシーンだけにこれもたまらん。撃って撃って撃ちまくる、マズルフラッシュ、飛び出す薬莢、煙、マガジンチェンジ、薬莢がアスファルトへ落ちる音、ガラスがこなごなに割れる音まで迫力ある音響。ただ、これ構図に問題があって警察とヴィンセント達が挟み撃ちする形で撃ち合うわけだけど完全に味方同士で撃ち合ってて危ないよね。まぁ好きなシーンだからいいんだけど。

若い娼婦が殺されて母親が泣きじゃくるシーンはストーリーに関係ないようで実は重要な場面。ヴィンセントが仕事であんな殺人現場&遺族の姿みたらストレスも莫大だろう、彼が壊れそうでそれをギリギリの所で正気を保っているのがよく分かる。それをさり気なく挿入するマンの演出が冴える一幕だ。そんな細かなとこまで手が行き届いたゆえの3時間は決して長くない。

(評価:★5)

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