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[コメント] 人斬り(1969/日)

演技観が芝居を支配するのではなく、役者の肉体の個性に引っ張られるままに、勝新と裕次郎と仲代がそれぞれジャンルの違う芝居をやっている。文字面では会話が成立しても絵面がホンを裏切り続ける。肉体に介入を試みる文意は肉体に拒まれる。
disjunctive

愛刀に悪さをされると、肉体を怒張させながら三島は割腹して恣意に抗議する。意志を欠いた殺人マシンに振り回され、芝居観はおのれを見失ったのか。演者の肉体に筋が翻弄された結果、男は流されマシンとなったのか。山本圭の時空を超越するインテリ声が役者たちの個性をかろうじて癒着させる。しかし、その融通無碍は仲代の悪意を好意に解釈してしまい、悲劇をコントにしてしまう。座敷牢のコント55号はこの前兆である。

(評価:★3)

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