ひさしぶりに　後味の悪い映画を堪能した。この時代にヒーローなど存在しない！などという簡単なメッセージを放り込まれるのかと思いきや、最後まで一貫した静と動の世界を描き様々な思いを自分自身で考えろと突き放された思いで終わった。

　ここまで後味の悪い思いを描ききった、コーエン兄弟をぶんなぐりたい思いもする。しかし、最近にない、くるぞくるぞくるぞ〜という思いをさせられてその気持ちもぐっとこらえなければいけないかもしれない。

　最近は、ひたすらコンピューターグラフィックを使いよけいな絵を見せられていて正直飽き飽きしていた。最初から最後まで演技の間の取り方、かばんを持ち去るよけいな演出をすることなくみる側に想像させる演出や、ラストシーン近くの衝突シーンでは、もうそれしかないってぐらいじりじり待たされ、なんだーと思わせドカーンとくるなど古来の演出ではあるが非常にこぎみよかった。私がこの不快に思える映画に、飽きることなく引き込まれすぎてしまった原因は主にここにあった。

　そして、ここまで一環した社会から自分自身を隔離し自分をさわる物をすべて排除する主人公、その精神が実に現代の日本の若者を象徴した物に思える。自分に関わるものに報復し社会から隔離する姿は、果たしてアメリカの問題だけだろうか？自分が年を取ってしまったから、よけいに思う姿だろうか、この映画はすべてを拒絶する若者と一緒に働くおやじに渇をあたえているのだと感じる。”すべてを拒絶する若者にあなたはどう対処するか？”私もこの機会に深く考えてみたい。

　でも最後の若者は、あの後報復にあわなかったのだろうか？？？