[コメント] 恋しくて(2007/日)
まるでうたをうたうように映画を撮る人がいる。中江作品はいつだって感情の表現なのだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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プロットとしては、かなりあざとい部類の作品と言えるだろう。父とセイリョウの死から「恋しくて」を歌い継いでゆこうとする流れは表題へのこじ付けとしか思えないつくりだし、エイジュンの歌そのものもイカ天キング(?)を獲得するような迫力は皆無。まったくご都合主義で気に食わないストーリーである。
それでも、中江タッチとでも呼びたくなるような独特の映像は観ていて非常に気分がいい。安らぐし、癒される。カナコというキャラクターの魅力も抜群だし、フトモモファイブや他のバンドの面々も不可解なほどに素敵なオーラを放散している。
中江裕司という作家はきっと、好きなものを好きだと言いたいだけなのだと思う。素敵な人を素敵だと言い、空の青さを「空は青い」とそのままの言葉と映像で伝えてくる。後半、カナコがエイジュンに書いた手紙のシーンがあるが、中江の映画はあの手紙そのものなのだ。「大好きです。」と、彼はただフィルムに綴り続けているのだ。
劇中、カナコはエイジュンに対し、幾度もこんな言葉をかける。
「エイジュンはさー、ずっと歌ったほうがいいさー、エイジュンの歌で幸せになる人がきっといるから」
同じ言葉を、私は映画監督中江裕司に送り返させていただきたいと思う。
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