原作未読です。ウィキペディアであらすじは把握しました。

最初にいいところを言っておくと、黒沢あすか。彼女が演じるダメ親の説得力たるや半端ではない。彼女の存在はまさに掃き溜めに鶴である。あとは山田孝之による丑嶋の造形。やべきょうすけと崎本大海のカウカウファイナンス勢。以上により、１を付けるのは忍びないので２とする。

しかしながら、根本的に本作まったくもって面白くない。そもそも「面白い題材」ではないのだが、この題材で借金地獄に引きずり込まれる悲惨さが全くスクリーンから出てこないのは。原作を愚弄しているといって差し支えないだろう。

大きな原因は債務者二人と無駄が多いこと。お互いのポイントは異なっているため、それぞれ言及する。

林遣都の場合は演出。特に、心情描写演出がモノローグ一辺倒で幼稚に過ぎるため、鑑賞していて不快感しかない。おそらく原作をバカ正直にシナリオに落とし込んだのだろうが、表情・仕草でそれを見せるからこその映画なのではないのか。それをやらないのは山口雅俊監督の資質のなさなのか怠慢なのかかは判別しかねるが、ともかく不適格である。

大島優子の場合は脚本。これは工夫が足らないのではないか。原作のゴレンジャイとニューリッチをまとめてしまうなど方法はあったと思うのだが、取ってつけたようになってしまっている。

無駄の多さに関しては、上映時間の長さに端的に出ている。まずイベントの内容（ダンスシーン全部）はいらない。５人組がしゃべるシーンもいらない。片瀬那奈のシーンも全部いらない。小川が街を歩くシーンはいくつか切れる。これで２時間切れるだろう。こんな話で２時間以上拘束するなんて観客に失礼と思ってもらわないと困る。

久々になかなか不愉快な上映体験であった。

(2012.8.25 109シネマズ湘南)