巨人関連のシーンが概ね良く、最後のシーケンスがエレン（三浦春馬）巨人の大暴れなので樋口監督の真骨頂がいかんなく発揮され、鑑賞直後の印象は悪くはないのだが、巨人以外の部分をどれほど「達観」出来るかによって本作の評価は大きく変わるかと思う。

良いのは巨人の人間捕食シーン全般。巨人同士のバトルシーン。PG-12というレーティングでここまでのものを作ってきたのは今後を考えても評価できる。白組のＣＧと樋口組の特撮で日本的な映像表現を探っていけるのではないだろうか。

それに引き替え、演技や脚本や演出プランの穴はなかなかのひどさである。

三浦は「地球ゴージャス」組なぞと絡んでいるからか平時の芝居が浮き倒している。冒頭から巨大巨人による壁の破壊までのシーンの「惨劇」たるや目も当てられない。他の出演陣については例えばシキシマ（長谷川博己）があまりにキザっぽくしているところなど演出プランの問題の方が大きいと思うのであえて触れない。

技術の発展を禁止している世界の中で車が普通に使われていたりとか、「最後に残った爆弾での壁の破壊が失敗すれば人類が終わる」はずなのに、その爆弾を積んだ車を簡単に奪取される上に自軍の兵士が奪い返してもその兵士が巨人への突撃に使ったりとか立体機動を使わなくても巨人を倒せているとかこの辺りは渡辺クオリティと思えば、まぁしょうがないか。

という事で、良いシーンも酷いシーンもなかなか振り切れている。だからこそ、僕はこの話に落とし前をつける後編を楽しみにしたい。良いところはおそらく邦画のメルクマールとなるだろう。

（2015.8.1 109シネマズ川崎）