『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が正統派なミュージカル演出と歌唱力で表現したものを、極彩色のＣＧを駆使してポップに描いています。 また、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が盲目の母が子供を守りたいというエピソードを主軸にしてるのに対し、この映画は一般的には卑小（言葉は悪いが）といおうか、別のベクトルで悲惨な物語です。

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』より手の届きそうな身近な悲惨さ、という意味で、物語としてはこっちのほうが面白いかもしれません。 画面も頭を空っぽにして、視覚的に楽しめました。

最後にアイドルオタクのおばさんになるっていうのを、真正面から（綺麗ごとや「実は過去に男関係のトラウマが……」的な理由付けを交えず）描く真摯な態度は好感が持てます。中谷美紀の演技はあんまり好きじゃなかったけど、大変な役を演じきったのは純粋にすごい。

残念ながらあまり心を動かされはしませんでしたが、実験作という意味で面白かったです。