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[コメント] 間諜最後の日(1936/英)

山岳で展開する危機とそれを遠地から望遠鏡で覗くこと。「映画」と「観客」の関係のアナロジーでもあるこの二重構造のサスペンスは『アイガー・サンクション』にもそっくり踏襲されている。イーストウッド関係には敏感に反応してしまう性分からそこを挙げたまでで、他にも後進の範となっただろう演出は多く見られる。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一方でこの映画は、冒頭に登場する片腕のない葬儀係(?)のようないびつなイメージを持ってもいる。一般的には「ヒッチコック的」と呼ばれないだろうこうした要素を、「ヒッチコック映画」は具体的な画面の水準においてしばしば「しこり」のように抱えている。「ヒッチコック映画」とフォロワーによる「ヒッチコック的映画」を残酷に隔てているものとは、そのようなヒッチコック的と非ヒッチコック的の按配に隠されている、という云い方もできるかもしれない。

終盤における列車と複葉機の「並走」にはヒッチコックの活劇勘のよさがよくあらわれている。活劇とは端的に並走である(馬鹿のひとつ覚えのようにまたもイーストウッドを持ち出せば、このような地上と空中の並走をイーストウッドは『ガントレット』でバイク&ヘリコプター、『スペース カウボーイ』で自動車&軽飛行機という形で実現させていますね)。

(評価:★3)

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