コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] パラダイスの夕暮れ(1986/フィンランド)

私にとって最高の恋愛映画。マッティ・ペロンパーは私だ。いや、残念ながら私はペロンパーほど美しくはない……。
3819695

私は基本的にはあまり顔のクロースアップというものが好きではない。現状から云っても歴史的に云っても、クロースアップの多くが何の工夫もなく撮られており、正視に堪えない画面をかたちづくってしまっているからだ。そのスタイルの多くをブレッソン小津に負うカウリスマキであるが、この映画では意外なほど顔の(ミディアム・)クロースアップが多い。しかし、私はこのクロースアップがたまらなく好きだ。それは端的に云って、ペロンパーやカティ・オウティネンが美しいからだ。「美しい」という語が誤解を招くようであれば、(さらに誤解を招くかもしれないけれども)「映画的」と云い換えてもよい。

カウリスマキ映画の登場人物はよく「無表情」と評されるが、私は素直にそれに頷くことはできない。仮に無表情であったとしても、それは決して「無感情」を意味してはいない。彼らの無表情は実に豊かな感情を湛えている。だから美しい。だから映画的だ。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)jollyjoker

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。