コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] デス・プルーフ in グラインドハウス(2007/米)

久々に見たタランティーノ映画は雑談の楽しさと乾いた笑いが生きている傑作。B級映画を作ろうとしても枠からはみ出してしまうのは監督の才能故か?前半と後半の二部構成がクッキリハッキリのコントラストで楽しい。
サイモン64

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







タランティーノ監督の映画は「キル・ビル Vol.1」以降見ていなかったので実に久々だ。その間に彼が関わった映画、『シン・シティ』や『ホステル』はどうにも嗜好がずれてる気がして積極的に遠ざかってるような感じだった。

デス・プルーフ』は公開当時からすぐに見たかったんだけど、ちょうど仕事が忙しい時期で『プラネット・テラー』の方だけしか見れずに残念だったのだが、アマゾンに予約したDVDが到着してようやく見れたってわけだ。

話の方は前半と後半でクッキリ・ハッキリの二部構成。カート・ラッセル扮するサイコ・キラー「スタントマン・マイク」がスタント耐久仕様「デス・プルーフ」を施した改造車で女の子を狩り、さらに狩ろうとした相手が悪くてパックマンみたいに逆襲されるというお話。

全編にちりばめられる雑談の楽しさ、後半のカーチェイスとスタントの迫力、乾いた笑い、映画的楽しさとタランティーノ的楽しさが、ごった煮になった久々の逸品である。

私はあまりキャストを意識しながら映画を見ることはないのだが、今回の映画では個々の俳優に非常に引きつけられた。

セクシーなバタフライを演じたヴァネッサ・フェルリトは実に魅力的な女性だったし、後半の逆襲三人娘は特にすばらしい。カーキチのキムに扮するトレイシー・トムズ、スタントウーマンのゾーイを演じる本業もスタントウーマンのゾーイ・ベル、『シン・シティ』で爬虫類的魅力のゲイルを超好演したロザリオ・ドーソン。この三人の迫力ある悪態とガッツには目を見張る。チアガール姿のメアリー・エリザベス・ウィンステッド(スタイルのいい鈴木杏(失礼!)という感じ)も実に可愛く少々ロリ心をくすぐるのが楽しい。

しかし極めつけのキャストはやはり紅一点ならぬ「黒一点」とも言うべきカート・ラッセルの存在だろう。残忍かつ姑息な変態殺人鬼のリアリティは彼ならではだ。彼のキャスティングはまさにB級感を狙ってのことだろうと思われるが、ジョン・カーペンター的な絶妙のB級感ではなく、時々枠を踏み外してしまうのが個々の監督の特性というものなのかと面白く感じながら見た。

プラネット・テラー』と比べるとやはりタランティーノの高級感というか力量を感じてしまうのだが、どうせ見るなら「マチェーテ」のフェイク予告を挟みつつ二本立てで見たかった。実に楽しい映画。エンディングのあっけなさと選曲センスもすばらしい。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。