[コメント] さんかく(2010/日)
予想外の佳作。追えば逃げ、逃げれば追う恋愛や依存の心理が思っていた以上によく描かれていて、自分自身を振り返ってとても身につまされるものがあった。
最初は野良猫同然にくっついたり分かれたりする、簡単で軽薄な男女の物語かと思っていた。
若い女の無自覚な誘い、勘違いした男の深追い。勘違いがなければ恋も成り立たないかもしれないが、思慕と迷惑は紙一重であるというバランスに気づいて互いに傷付く前に身を引く難しさ。重さと優しさの境目。捨てられそうになった人間の焦り、依存、自傷、自滅行為、悪循環。相手の心を取り戻そうとして、もっと相手を傷つけてしまう悔恨。
自分の姿を客観的に見たときの自責の念、だけどその関係はもう修復することなどできない。そのことがわかっていながら追いかけたり相手を過剰に責めたりなんてことがやめられない加速した気持ち。そこから生じる更なる自責の念。相手が逃げれば逃げるほど引けなくなる悲しさ。
結構練ったであろう描写の中からそんな、どこにでもあるような恋の悲しさを思い出して、時々とても嫌な気持ちになった。
エンディングは微妙だけれど、暗示的で効果的だと思う。主演3キャストはとてもよくハマっている。
ただ一点設定に文句があるとすれば、30男のいる狭いアパートに、15才の妹を同居させる田畑智子の心理はよくわからない。
ちょと話は変わるが私は田畑智子と保田圭の顔が好きなので、そういう意味でも評価の高い映画。
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