コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 遊星からの物体X ファースト・コンタクト(2011/米=カナダ)

オリジナルを見ていない人には意味不明とは思うが、きっちりとオリジナルにつなげる作りは感心した。ビギニングとしては十分以上の出来栄え。
サイモン64

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「遊星からの物体X」は映画史上に残る怪作と言えよう。ジョン・カーペンターの趣味性が全面に出ていながらも、おはなし自体が非常に面白く、最後の最後まで息をつかせない出来だった。1980年代の技術を駆使して作られた特撮も、スタッフの熱意をありありと感じさせる素晴らしさだった。

その「物体X」を受けて前日譚を作るのだという。しかも主演は『ダイ・ハード4』のメアリー・エリザベス・ウィンステッドであると聞いた時点で、多くの旧作ファンは落胆したのではないだろうか。

だが、私の落胆は良い意味で裏切られた。この映画は最初から最後まで正統派のホラーであり、びっくり音によるびっくり演出も嫌味ではなく、映画全体をよく引き立てている。鏡や曲がり角みたいな「来るぞ」と思わせる小道具をあえて使わなかったりという上手い肩透かしもいいなと思う。

もちろんオリジナルと比べるのはかなり厳しいと思う。方や映画史に残るB級傑作である。これを超える映画自体が全てのジャンルを含めてもそんなに存在しないのだ。この映画にもいろいろとアラはあると思う。でも、ノルウェイチームを舞台にして無理なく英語で話をすすめる設定、オリジナルで出てきた顔が二つのクリーチャーはこういうわけであったのかとひとつひとつ合点のいく作り、そして最後はきっちりとオリジナルの冒頭につながりながらも、「最後の生存者はどこへ?」という謎も残しながらのラストはなかなか憎い。

ただ、やっぱりオリジナルにあったチープな味わいは、現代の最新映像技術ではどうしても出せないというか、映像が小奇麗になってしまうきらいがあってそこは残念だ。でも、極力セットを使ったりしている努力の跡も見られて、久々に好感の持てる「ビギニング」映画であった。

ひとつ問題があるとすれば、オリジナルを見ていない人には面白さ半減というところか。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)小紫 tkcrows[*] わっこ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。