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[コメント] 死霊のはらわた(2013/米)

オリジナルの『死霊のはらわた』は、怖さのあまり笑ってしまうほどであったが、今リメイクでは登場人物に笑わせてしまっている。自分で言った冗談に自分で笑ってるオッサンみたいになってて残念。
サイモン64

ちょっと開きかけの地下室の蓋から顔をのぞかせる妹の白眼顔は、もはやこれ以上の邪悪なキャラは考えつかないであろうという、それはもう素晴らしいできばえであった。

今作の設定は色々と良く考えられていて、山小屋に集まった理由、そこから退去しない理由、挙動不審の妹に対する対応の理由など、裏付けはよくなされていると思う。

しかし、突発的に「死者の書」の力を開放してしまう成り行きや、その後の展開と、主人公の吹っ切れた行動は旧作のほうが遥かに良く出来ており、また、映画全体も非常に高い密度感に満ちていて、ホラー映画の伝説となりうるパワー十分であったと思う。

今作にはオリジナルの原作者にして監督であるサム・ライミその人が関わっていながら、薄っぺらく感じてしまうのはとても残念だ。もちろん、映像や音響は素晴らしいのだが、なにかものたりない。具が少ないので汁気を増やしましたとか、ティーバッグひとつで五人分の紅茶入れたらすごい薄い色になって、レモン入れたら色まで消えて匂いつきの白湯になりました的なさみしさを感じる。白黒の無声映画ですら人を涙にくれさせることもあるように、表現の技法や技術が映画の全てを決定するわけではないのだと改めて実感する。

ライミ監督の『スペル』は非常に良い出来だったのだが、どうして自身の作品のリメイクで今ひとつ本領を発揮できなかったのかは不思議だし、残念だ。

自分自身が打ち立てた金字塔をあえて守りたかったのかと勘ぐってしまうような作りだった。

まあ、いろいろ文句はあるけど、ホラー映画としてはゴージャスな作りだと思う。ただ、『キャビン』には内容的に完全に負けてるなと思う。

(評価:★3)

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