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[コメント] GODZILLA/ゴジラ(1998/米)

平成生まれの俺と、ハリウッド版ゴジラの関係。回想。
かねぼう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映画といえばゴジラだった。幼稚園に通っていた頃、よく祖母に映画に連れて行ってもらったものだが、ドラえもんやクレヨンしんちゃんシリーズと並んで、この平成ゴジラ(当時は“平成”だなんて微塵も意識していなかったが)シリーズがお気に入りだった。ゴジラの新作が出る際には、必ずと言っていいほど祖母に映画館に連れて行ってくれとねだっていた記憶がある。

その時のゴジラを改めて見てみると、今でこそその作り物感が気にかかるが(そしてそれを同時に愛らしく思う)、当時はもちろんそんなことを気に掛ける訳もなく、映画館で響き渡るゴジラの咆哮に小さな体を震わせながら、スクリーンに映し出されるゴジラに畏怖と愛着を感じながら夢中になったものだ。

そんな俺だったが、小学3年生(?)の頃に登場したのがこのハリウッド版ゴジラである。完全に打ちのめされてしまった。今までに見てきた日本のどんなゴジラよりリアルで、迫力があって、そして悲しい。本当に悲しい内容である。ゴジラは卵を産みに来ただけなのに、人間はゴジラをただの怪物扱いして、駆除のために軍を出動させるのである。そしてゴジラは殺されてしまった!これが当時の俺にとってどれだけ衝撃的だったかは言うまでもあるまい。

人間がゴジラを殺したのである。一人前のこだわりを持って「こんなものゴジラじゃない」などというセリフを吐き、この事実が内包する己にとっての重要性を無化しようと試みるには、8歳の俺は純粋すぎた。

思えば当時は、映画を見る際には良いところばかりを見ていた気がする。これは悪いところにまで気を向ける余裕が無かったからだろう。だけど、大人になってから見直してみてどれだけ荒い作りであろうとも、このGODZILLAが当時の俺に衝撃を与え、俺をどうしようもなく切ない気持にして、そして今俺の記憶の中では、ゴジラ映画の良作としての地位を確率しているということは事実なのである。そしてこの思いは、昭和のゴジラを正当なゴジラとし、このハリウッド版をそれによって否定する人々が内に抱くゴジラに対する思いと等価であろう。子どもの頃から育んできた愛着に罪はないのだから。

俺は幼い頃にハリウッド版GODZILLAを体験した世代として、この迫力に満ちた映画を愛し、そしてこの映画を支持する。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)がちお[*] sawa:38[*]

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