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[コメント] 真夜中のサバナ(1997/米)

奇なる事実の神秘性が浮き上がって来ずかといってフィクショナルなエモーションもないSO-SO作品
junojuna

 イーストウッドの魅惑的なオレ度が薄く主題が不透明でムードにも一貫性がなく、長尺を走破した後の読了感もない凡庸なる作品。積極的に悪くはないのだが薦めることはできないといった感じ。現代アメリカ映画きってのノスタルジックな風合いを画面に滲ませる旨さに長けているここまでのイーストウッド&グリーンのコンビだが、アメリカ一美しい街として呼び声高い古都・サバナという魅力的なロケーションを残念ながらヴィジュアライズすることができていなかった。寄りの画が多く、室内シーンが多いというのが、その得意のランドスケープをものとすることができなかった所以だろう。イーストウッド映画の醍醐味は、主人公が葛藤の当事者であることの強度をプロットの力学的配置による物語として躍動する時に醸成される。本作のような傍観者視点で語る文体は、イーストウッドのような自己言及に執着を見せる作家のスタイルとしては不適合なものとなっている。どちらかというとドキュメンタリー向けの素材であるし、その意味でイーストウッドの土俵ではなかったような気がする。

(評価:★3)

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