いやー、これはかなりしびれる作品だね！とにかくかっこいい！個人的には『ダークナイトライジング』の方が好きだけど、三部作通してのメッセージもあるし、この作品があってのラストだと思うからやっぱりこの作品は素晴らしい！

個人的に印象に残ったのはマスクの役割。人の顔に被るコウモリのマスクは今まで正義の象徴だった。それが今作では覆される。ジョーカーという悪のマスクをつけた存在。正義のマスクと悪のマスクとの対立の中で、挟まれるのは生身の顔のハービー・デント。彼は市民の象徴であり、正義のヒーローであった。だから前半正義のマスクであるバットマンと協力する。しかし、火傷によって顔の皮膚は崩れ、まるでマスクをつけたよう。人格も変化し、半分正義、半分悪の心をもつ。つまりデント自体がマスク（正義と悪）の対立を表してる存在になる。最終的にはジョーカーの悪の前にバットマンは正義のマスクを脱ぐことになる。世間からはバットマンが悪役になり、マスクはつまり悪の象徴へと変化する。マスクを取ることは単にブルースの責任感からなのか？いや、マスクが悪役として全てを被り、生身の顔が正義の象徴であることを表現させるためであろう。マスクをとることが、マスクを被っていない市民の味方、ハービー・デントをヒーローにするための市民の信じる気持ちを裏切らないための最終手段だったのである。

ここまで奥が深いとホントに面白い！クライマックスで船を爆破しようとするジョーカーがビルで戦う場面、ジョーカーがバットマンに吊るされるところなんて正義と悪の逆転を示唆している。吊るされて逆さまのはずのジョーカーが通常の向きで映されていて、後の展開から「あのシーンで悪と正義の逆転を表現しているんだ！」って気付いた時には鳥肌が立った！

すごい！本当に面白かった！よく出来てる！さすが！ノーラン監督に拍手を送りたい。