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[コメント] 哀しみのトリスターナ(1970/仏=伊=スペイン)

前作『銀河』のラストシーンを本作は引き継いでいるのであり、盲いた巡礼者たちの覚束ぬ歩行が、冒頭、サッカーで敵を引っかける聾唖者の脚に重ねられる。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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そして老いて改心するドン・ロペへの報復として、再び(邪悪な)神はその妻から自由な歩行を奪うであろう。

義足へトリスターナが投げつけるブラジャーは、青春を奪ったフランコへのブニュエル自身の怒りの表白とも取れる。すると薄幸の美女はブニュエル本人の投影なのか。聾唖者との関係なかりせば、というラストシーンは判りやすいとも取れる。

しかし物語はそれほど単純ではなさそうで、ドン・ロペと聾唖の青年が仲良く肩を組んで立ち去るシーンなどは、唐突な断片ゆえ強烈な印象を残すが意味不明、裏取引の癒着を匂わせるばかりで、観客はいつもの意味不明(意味過剰)の展開に突き放され、立ち尽くすことになる。

なお、邦題は「トリスターナ、哀しみの」なる劇中のフェルナンド・レイの科白から採られている。

(評価:★4)

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