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[コメント] カサンドラ・クロス(1976/独=伊=英)

ダイヤモンド・プリンセス号が容易に想起させられるウィルスもの。アメリカの暴走警告の趣旨でありこんな無茶に現実はなるまいが、細部は的確で興味深い。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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アメリカ軍人のランカスターがまず気にするのが1000人もの客を隔離する施設がないということ。乗客にはつくり話を、と云って、テロ発生で駅に爆弾が仕掛けられたからルートを変える、と滔々と説明する。こんな嘘をよく思いつくものだと感心させられた。

ランカスターは嘘をついている、というリチャード・ハリスの確信はどこから来るのか。これはもう、こちらに銃を向ける兵隊から来るのだろう。防護服着て軍隊が鉄砲持って大勢で入ってきて、客の持ち物を断りもなしに持って行っちゃう、みたいな細部が怖い。

撮影はOPの空撮がとてもいい。雲間から覗く銀色の山並みがジュネーブの銀色の街並みに溶け込むのだ。一連の特急疾走の捨てカットも素晴らしい。一方、役者を前にした撮影美術はすごい安物。冒頭のテロからひどいアクションだし、WHO(IHOと呼び替えている)に三人しかいないスケール感のなさもどうかしている。しかしこれらは、クライマックスの鉄橋崩壊の特撮から引き算していたのかなとは思った。他が立派だとこの山場だけチンケに見えてしまうから、全体にいい加減に撮っていたのではないだろうか。この座席に鉄柱が突き刺さるようなパニック映画の畳みかけは唸らされた。こんなんだよねパニック映画って。

タイトルはクロッシングでないと意味をなさないと思うが。老女優揃い踏みの迫力はもの凄い。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)シーチキン[*]

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