[コメント] 女学生ゲリラ(1969/日)
人里離れた山中の舞台化という主題からしてゴダールとかぶるが、学園ドラマ的な作劇は過激に抽象的で超然としたゴダールと比べていかにも頭が悪く、日本人には革命など無理だという感想を惹起する。
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映画を見終った人むけのレビューです。
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黙殺されるゲリラ戦を描いて興味深いがもうひとつ弾けず地味。穴の開いた革命旗というシンボルは複雑なものがあり、若松=足立はこの段階では革命に対する相対化とユーモアを忘れていない。最後はこれはヒッピーよりのカーニバルだと宣言して終わる、ということか。
69年の本作はそんな具合に楽天的。リアルタイムが刻印されており、71年の憂鬱な『天使の恍惚』、生真面目な『世界戦争宣言』と比較してしまう。67年にはまだ『中国女』『ウィークエンド』で遊んでいたのが、68年に『ワン・プラス・ワン』『ありきたりの映画』でやたらとマジになるゴダールと並行関係にあるのだろう。
人里離れた山中の舞台化という主題もゴダールとかぶる。富士山麓は『処女ゲバゲバ』と一緒に撮ったのだろう。良かったのは「俺たち何やっているんだろうなあ」「いつも負けた後になったら何やっていたか判るんだよ。試験に失敗した後とか」という科白。しかしこういう学園ドラマ的な切り口に観客のシンパシーを求める方法は、超然としたゴダールと比べると大いに退屈。なぜかクロサワ引用の「ゴンドラの唄」の情緒も不要に湿気ている。
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