本作の告発をどこまで真面目に捉えるのか、は尋ねる人の数だけ答えがあるだろう。金持ち優遇政策を採る政府はこのエイリアンと同じだとも云えるし、全ては被害妄想のパラノイア症状とも云える。この感想の幅は、何かの隠喩であるフィクションの効用であり同時に限界だろう（本気の告発はリアルを追及すべきものだ）。しかし、こんな感想が出てくるのも、本作がフィクションとしてとても優れているからに違いない。They Live, We Sleep.

本作は何といってもエピローグのお遊びが素晴らしい。骸骨が傾いて振り向くショットは『サイコ』の影響だろう。モノクロは全般にブニュエルっぽい。しかし、ジャック・フィニー「盗まれた街」みたいな話から直接連想されるのは、ウルトラシリーズだったりする。米国ならトワイライトゾーンなんじゃなかろうか。あと、エディ・マーフィー以降の映画だから当然なのだろうけど、白人黒人のバディものは古い映画ばかり観ている者にはハッとさせられる処がある。これはいいものだ。