コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 二十四時間の情事(1959/仏)

私には本作の観念劇より、冒頭数十分の記録映画と『ひろしま』の断片のほうが求心力がある。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







エマニュエル・リヴァの「貴方は広島を見なかった」は、岡田英次が自分の故郷ヌベール回想により克服され、最後はお互いを「貴方は広島」「君はヌベール」と地名で呼び合う関係に至る。このとき、ヌベールでの恋人がドイツ兵であり、非国民と地下室に閉じ込められた体験は、同じ旧敵国の軍人だった岡田に重ねられるのだろう。

デュラスにとっては「モデラート・カンタービレ」のインドから『ラマン』のインドシナに至る外国人との関係なのだろう。デュラスは何かを擁護しようとしているように思われ、それはヴィジー政権下の何かなのだろうと想像させられるが明示はされない。そこを明示してもらわないとよく判らない。

だから反戦映画も含め、通り一遍の反戦運動を皮相的だと非難する映画でもある訳だ。しかし、私には本作の観念劇より、冒頭数十分の記録映画と『ひろしま』の断片のほうが求心力がある。冒頭の被爆した触れあう肌という秀逸なイメージが後半顧みられなかったのは一貫性を欠いたと思う。

コンクリ剥きだしの広島記念館の展示室と、TEA ROOMどーむという暖簾が印象的。高橋通夫はどこを撮っているのだろう。再見。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。