捕まった川津の背中を追おうとしない友情物語とは思えば奇妙な味があるが、別にこれが主題ということでもなく、爽やかげなラストの邪魔だったのだろう。その後どうしたのかな、川津。

ほとんど客寄せパンダ扱いの佐田啓二は何が主演なものか、当時の女性ファンの怒りが聞こえてきそう。道行で舞う有馬は『浪花の恋の物語』とかぶるが、本作のほうが公開が先。突然にトンでも映画系の展開ではあるが、有馬は養母が日本舞踊の名取りだったかやたら上手く、美術も撮影も一級品でみせてしまうのはさすが。『浪花』のほうが断然いい映画だけど。