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[コメント] アマチュア(1979/ポーランド)

畳みかけるような編集が21世紀的で、とりあえず画で提示して後に物語を付け足す話術もそうだ。物語上は意味がなかった断片、酔っ払い運転の車とか演習のガスマスクとかの頻出がリアルを肉付けしており、作品の主題に絶妙に沿っている。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







8ミリ映画の世界を肯定しつつ否定し、究極は肯定している。亡くなったお婆さんのフィルムを観て友人は「素晴らしいこと」と云う。小人症の工員の人生は肯定される。究極はそうなのだが、そこまで辿り着くのがたいへんだ。

アマチュア映画協会の才気走った美人ともっさい妻との対比が素晴らしい。妻が去るのは否定的側面だが、ソクラテスみたいなもので、芸術とはそういうものだと映画は諦念を表明しているようだ。

ただ、工場の秘密を撮ってしまったという終盤の語りは下手だろう。工場長とあんなに懇意なんだから、どちらかがTV局に渡すまでに確認すれば済んだ事態である。TV局に報道の自由があるのがここでも確認できる。それでもフィルム感光させるショットは痛々しいし、責任を取らされた文化担当の老スタッフが「お前の好きなようにやれ」と主人公を励ます件はいいものがあった。

私的ベストショットはアパートの窓から撮影された、長椅子をネット代わりにした路上でのテニス。個人的には8ミリの編集機が懐かしい。あんな上等なものは使ったことはなかった。

(評価:★4)

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