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[コメント] 呪いの家(1944/米)

「星影のステラ」の映画として価値高いが、ジャズ・スタンダードと映画がこれほど乖離しているのも珍しかろう。純粋な幽霊の主題は『幽霊と未亡人』(47)のほうが抜群に優れており(とちらもチャールズ・ラング撮影)、本作はそのエチュードの印象。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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英国の兄妹(レイ・ミランドルース・ハッセイ)が米西海岸の空き家の別荘を幸運にも手に入れる。本作は導入がいい。海岸を散歩していた兄妹が崖を上がると庭に出て、リスの突撃につられて空き家に入り、この家を気に入ってしまう。これも家霊が導いたのだろうと後に思わされる。ロケーション(「呪いの崖」と呼ばれている)も印象的。そして持ち主の子ステラゲイル・ラッセルが登場する。

ステラが売らないでという懇願にもかかわらず祖父のビーチ中佐ドナルド・クリスプは兄妹にこの別荘を売却すると、ステラはしょっちゅう遊びに来る。ここで死んだ母の自分への深い愛情が感じられるのだと告白する。祖父は訪問を禁止しており、ステラは祖父の眼を盗んで来る。アクマが孫を狙っているのだという祖父の禁止は何なのかと云う謎かけが、幽霊話と並行して進む。この序盤は幽霊ものらしく宙吊り感がとても芳しい。

ここからの物語は平凡。スペインの魔女とか交霊会とか、ジャンルの切り口は興味深いが深みはなく類型的。ラスト、兄とステラ、妹と医師が結ばれるだろうという纏めは何かゲームのようで芳しからず。

レイ・ミランドは作曲家で、屋敷にピアノ持ち込んで「星影のステラ」を作曲している。この肯定的なメロディと幽霊話との絡み方は独特の雰囲気を醸し出しているが、この名曲を想起するのに本作を想起する人は今や極く少数なんだろう。

(評価:★3)

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