コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 茶目子の一日(1931/日)

当時のエロ・グロ・ナンセンスの一角を今に伝えてインパクト大。平井英子の調子外れのアニメ声の歌唱もの凄く、手あたり次第の擬人化と伸縮自在な体型というアンチリアリズムの方針徹底で、テリー・ギリアムを想起させる異世界がすでにすっかり達成されている。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「いつもの納豆売りのお婆さん」という描写も当時の風俗が記録されていて面白い。納豆が籠から降りて籠を押してお婆さんを手伝っている。歯磨きは「ライオン歯磨き」と唄っている。戦前はクラブ歯磨きばかりかと思ったらライオンもすでにあったらしい。

飯茶碗が喰ってくれとばかりに茶目子へ目線を送っている画は、擬人化の果ての私を食べてのカニバリズムがありグロテスク。旭日旗系の背景で納豆が順に口へ放物線を描いて飛び込む。布団から起きて何やら体躯を伸縮させたらすでにセーラー服姿になるのもインパクト激しい。

♪夜が明けた、と朝は蝙蝠やら太陽やらが重層的に描かれるのに比べて夜は駆け足で、観に行った映画と同時に終わるラストの呆気なさも奇怪。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)DSCH[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。